tangerine

百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
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「あきれた」
「何度も言うなよ」
「本気で濡れて帰るつもりだったの?」
「だって・・・仕方ないだろ?」
「ちゃんと傘もって出なかった人が悪いんです」
「うっ・・・」



昇降口で待っていたのは、やはり桃香だった。
由真はようやく自分の知っている存在を確認したことで、
安心感を抱いていたが、
会って早々思い切り愚痴られてしまい、
決まりの悪い思いをしていた。

「あーもーうるせぇなー。
 それより、桃香お前いったいどこ行ってたんだよ?
 教室にも保健室にもいなかったし」
桃香の愚痴を振り切るように強い口調で問う由真だったが、
それに対し桃香は、
「・・・別に」
と、目をそむけてそっけなく応えるだけだった。
(ったく、カンジ悪ィな・・・)
いつものこととはいえ、桃香の態度にいら立ちを覚える由真だったが、
目の前にいる桃香の姿にどこか違和感を感じていた。



「・・・お前、カバンは?」
由真は桃香に対して感じていた違和感に気付き、そこを突いた。
「え?あ、そ、それは・・・」
先ほどの反応とは打って変わり、動揺する桃香。
よく見ると、桃香は通学用のカバンを持っていなかった。
普通、登下校するときは教材の入ったカバンを持っているものだ。
もっとも、教材を入れず、筆記用具と携帯電話といった、
その人にとって最低限必要なものしか入れない者もいるが、
それでもカバンくらいは持っているものである。

その代わりに桃香が持っていたのは2本の傘。
一つはきちんと巻かれているもので、
もう一つは半開きになってぐっしょり濡れている。

由真はもう一度桃香を見てみた。
よく見ると、少し濡れている。
特に足元は土を含んだ水で汚れていた。

由真にはわかった。
桃香はずっと学校にいたわけではない。
一度は外に出たのだ、ということを。



「まさかお前、一度帰って戻ってきたのか?」
由真は驚いたような口調で桃香に聞いた。
「そ、そんなこと・・・」
桃香は反論しようとするが、言葉が続かない。
「そんな、お前、わざわざ・・・」
由真にはもうわかっていた。
桃香は一度家に帰っていたことを。
そして、自分のためにわざわざ傘を持って学校に戻ってきてくれたということを。



少しの間桃香はうつむいたまま黙っていたが、
ようやく重い口を開いた。
「だって、お姉ちゃんなかなか帰ってこないし、
 それで傘立て見たら、お姉ちゃんの傘があったから、
 きっと傘忘れて出ちゃったんだなって思って・・・
 だから・・・」
桃香の声は次第に小さくなり、やがて雨の音にかき消されて聞こえなくなった。
が、
「あー!もう!いいでしょ!?
 せっかくわざわざ持って来てやったんだから、コレ使ってよね!!
 はい!!」
桃香はいきなり顔を上げると突然大きな声を上げ、
きれいに巻かれた方の傘を由真に差し出した。
そんな桃香の顔は、なぜか赤かった。
「な、なんだよ?」
突然の桃香の剣幕に戸惑う由真だったが、
迫力に押されて思わず傘を受け取るのだった。
「さ、帰るからね」
桃香はそう言うと由真にそっぽを向け、半開きの方の傘を差し、校門の方に向かった。
「あ、ちょっと、待てよ!」
呆気にとられてた由真だったが、
桃香が帰ろうとしているのに気付くと、彼女のあとを追いかけるのだった。



「待てってば」
由真は雨の降りしきる中、桃香を追っていた。
最初はそれを振り切るように早足で歩いてた桃香だったが、
何度も呼ばれているうちにやがて、速度を緩め、そして止まった。
そして、ついに由真の呼びかけに応えたのだった。
「何よ」
少しだけ沈黙の時間があったが、
その後由真はそっと口を開いた。


「桃香、その・・・ありがとな」


由真は後ろから、
優しい口調で感謝の言葉を桃香に贈った。

そんな由真の言葉に対し桃香は
「べ、別に・・・たいしたことじゃ・・・」
と、ぎこちない口調で返すのだった。



由真からは桃香の顔を見ることはできなかった。
桃香が反対方向を見ていた上に、
傘で桃香の顔が完全に隠れていたから。
いや、隠れていたというよりも、
隠していたというほうが正しいかもしれない。



「私はただ、お姉ちゃんがこのまま帰れなくて、
 寂しい思いをさせるのはかわいそうだなって思っただけなんだから。
 お姉ちゃん寂しがりやだから泣いちゃうかもしれないし」
相変わらず憎まれ口ばかり叩く桃香。
「とにかく、わざわざお迎えに来てやったんだから、
 後でいっぱいお礼してもらうんだからね」
桃香の言葉に由真はただ「へいへい」と返すだけだった。
あながち間違いではないだけに、
早いところそんな話を終わらせたいという気持ちもあったから。



「それに…この雨のなか1人だけ家にいるのも、
 何だか自分ひとりだけ取り残されたみたいでイヤだし…」
ぼそりとそうつぶやく桃香。
それは小さな声だったが、
雨音にかき消されることなく由真の耳に入ってきた。
「桃香…?」
桃香の言葉に反応する由真。
「あ、いや、別に寂しかったとか、
 そういうわけじゃないんだから!
 勘違いしないでよね!」
まさか聞こえたとは思っていなかったようで、
桃香はまた必死になって誤魔化そうとしていた。



そんな桃香の後ろで、
由真はひとり考えていた。



  そっか…

  桃香は家に帰っても私がいなきゃ、1人きりなんだよな。

  そして私も、さっきまで1人きりだった。

  慣れたはずの場所だったのに、何ともいたたまれない気持ちだった。



  桃香もまた、家で1人、いたたまれない気持ちだったんだ。



  あの時間の私と桃香、同じ気持ちだったんだな・・・



「桃香!」
「な、何…きゃっ」



由真は自分が差していた傘をたたむと突然、
桃香の傘の中に入った。
「な、何なのよ、いきなり」
「へへ、何かこっちの方が良くてさ」
由真は幸せそうな顔をしてそう言った。
「どうしちゃったのよ?」
突然の由真の奇行に戸惑う桃香だったが、
そんな桃香を気にすることなく、由真は言葉を続けた。
「ここだと、桃香の顔も見えるしな」
「な、何を言って…。
 ていうか、入りきれないってば。
 濡れちゃうじゃないの!」
桃香はとにかく由真を傘から出そうと必死になっていたが…



「うーん、じゃあ、こうすればいいだろ?」


きゅっ


「あ・・・」
いつの間にか桃香は、
自分の体が由真の体に密着していることに気付いた。
落ち着いてみると、由真が自分の腰に手をあて、
抱き寄せているのがわかった。

「な、何なのよ、一体…」
「嫌か?」
「べ、別にそんなわけじゃないけど…」

恥ずかしい。
なのに、なぜかとても落ち着いてる。
桃香はそんな不思議な感覚に浸っていた。



「これなら、濡れないだろ?」
「…うん」



先ほどまで反抗的だった桃香も、
すっかり穏やかになり、
いつしか自分から由真に寄り添うようになっていた。



1つの傘の下で身を寄せ合う2人。
辺りはすっかり暗くなっており、
雨のせいで身を刺すほどに気温は下がっていたが、
傘下の2人は身も心も温めあっていた。



「桃香」
「何?」
「もっと顔、見せてくれないか?」
「な、何よ…いつだって見れるくせに…」



由真と桃香は家族なんだから、
いつも顔を見れるのは当たり前のこと。
しかし、今の由真にとっては、それがとても幸せなことなのだと感じていた。



「桃香」
「今度は何よ?」
「迎えに来てくれて、ホントありがとな」
「…いいってば。私は…お姉ちゃんが帰ってきてくれれば…」



あれほど激しく降っていた雨も、今は小康状態になっている。
しかし、今は家に帰りつくまで止まないでほしいという気持ちを、
口には出さないものの、2人は抱いているのであった



(END)



↓後記ですよん



おはこんにちばんは、チカです

ゆまももSS続編、ようやくできました
あまり待たせないようにするとか言っておきながら、
だいぶ待たせてしまってゴメンナサイ~
今回のSSはとっても難産で、思ってたよりも時間がかかっちゃいました~
昨日アップするつもりでしたが、結局今日になっちゃいました

いやもう、ゆまももSSは書くの難しいんですよ~
他のカプだと思うがままにデレデレイチャイチャさせちゃったりするんですけど(笑)、
ゆまももはお互いなかなか素直じゃなかったりするから、
どこでどのようにデレさせるかが、とっても難しいんです。
私の表現力の問題なのかもしれないケド
それだけにデレるとゆまももは最強のカプになりそうな気がします

ゆくゆくは終始デレデレで甘々なゆまももSSも書きたいです~
せっかく同棲してるんだからNe(ぇ)


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Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

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