tangerine

百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
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「ちっ、まだ降ってやがる」
由真は学校の教室の窓から外を見ながら、
悔しそうにそう言った。

ただ今の時刻午後4時前、天候は雨。
空は分厚くどす黒い雨雲に覆われていて、
それは大粒の激しい雨を降らせていた。
つい2時間ほど前まで空は青く澄みわたっていたというのに。

周りを見ると、もうみんな帰ろうとしているか、
部活の準備をしていた。
由真も帰ろうとはしているのであるが、
帰れない状況である。
それは、雨をしのぐための傘が無いから。
置き傘なんてものも、してはいなかった。

友人の絵里子に傘に入れてもらうよう、
お願いしようと思ってはいたが、
絵里子はすでに自分と同じく傘を持ってなかった香田と一緒に帰ることにしていたようだった。
さすがに1つの傘の中に3人は入らないだろうし、
最近恋人として付き合い始めたあの2人の間に割り入るのは気が引け、
結局声はかけなかった。
綾乃は下高谷とデートの約束があるらしく、
終礼が終わるや、鼻歌を歌いながら脱兎の勢いで教室を飛び出していった。
このクソ雨の中、いったいどこに行くのやら。

誰かから借りる、それもできないことはないだろうが、
この悪天候では、誰もが傘が必要なはず。
複数傘を持っている人からは借りられるかもしれないが、
そんな生徒は少数派だろう。
その少数派の人を求めて聞いて回るのは、正直恥ずかしい。
結局誰からも傘を借りなかったのだった。



「桃香の言うこと、聞いときゃよかったな」
またも悔しそうにつぶやいた。
そして、思い出していた。
今朝、妹から忠告されていたことを。


 『今日は雨が降るっていうから、傘ちゃんと持って出てよね。
  ゼッタイなんだから』
 『へーへー、わーったわーった』
 『ゼッタイだからね。雨が降って傘がない、なんてことになっても知らないんだから』
 『わかりましたって。しつけーなー』


しかし、結局傘を持っては出なかった。
だって、今朝は雲ひとつ無き好天で、
それがまさか今のような事態になるなど、考えもしていなかったから。



桃香なら今日の悪天候に備えて最低1本は傘を持っていることだろう。
そうすれば傘に入れてもらうこともできるだろうし、
置き傘があれば借りることもできる。
そう考えもしたが、
今朝桃香の忠告を無にしてしまったことを考えると、非常に頼みづらい。

結局由真は、雨足が弱まるまで教室で待機することにしたのであった。
うん、それがいい。
止まない雨なんて無いのだから。



ただ今の時刻午後5時過ぎ、天候は雨。
由真はまだ教室にいた。
雨足が弱まる気配は全く無い。
その上、空は次第に暗くなり始めていた。
もともと空は雨雲に覆われていて重々しい雰囲気だったのだが、
夜になりつつあるということで、
ますます暗みが増してきているのであった。
「こんなことなら、恥を忍んででも傘借りときゃよかったな」
由真は変なプライドにとらわれて、
傘について聞いて回らなかったことを後悔していた。

そして、最も気軽に使える手段を活用しなかったことについても後悔していた。
「桃香のヤツ、もう帰ってるんだろうな」
そう思いつつも由真は、わずかな期待を抱き、
今更ながらに桃香の教室、1年桃組に足を運んでみることにした。

しかし、予想通りというか、
案の定、そこに桃香の姿をうかがうことはできなかった。
保健委員だから保健室にいるのではと考えもしたが、
そこにも桃香はいなかった。
どうやら桃香はすでに帰っているようだった。



結局自分の教室に戻ることにした由真だったが、
その途中、廊下の窓から校門のほうを眺めた。
先ほどから車が校門に入っては、
生徒を車に入れて出て行くところを目にする。
おそらく、豪雨のため帰ることができない娘を家族が迎えに来ているのだろう。

この手段は、由真には使えるはずがなかった。
車で迎えに来れるような家族はいないから。
両親は仕事で長いこと海外で暮らしているため、頼ることはできない。
歳の離れた姉もすでに結婚していて、離れたところで暮らしている。
頼れる肉親といえば、桃香だけ。
しかし、その桃香ももうすでに学校を出てしまっている。
結局由真にできることは、雨足が弱まるのを待つだけ。



ただ今の時刻午後6時ちょうど、天候は雨。
雨足は相変わらず。
教室には由真1人。
クラスメートたちは部活動参加組も含めて、
もうほとんどが帰路についていた
教室の電灯は点けていたが、
外はかなり暗くなっているため、電灯の光がいつもよりまぶしく感じる。
由真1人のために照らす光としては、
あまりに強すぎるような気がしていた。
そしてそれが由真の孤独感を強めているような気がしていた。
じゃあ電灯を消せばいいのか?
消したら消したで、重々しい気持ちが強くなるような気がしたため、
結局点けたままでいることにした。

ここは教室。
昼間は友人たちと楽しく語り合った教室。
授業中は億劫でも、
それ以外では和気藹々としていてとっても楽しい空間。
そのはずなのに、今は・・・。



ぶるっ。

ふと肌寒さを感じた由真。
それが、豪雨による気温の低下が招いたものだったのか、
現在の由真の心境から来たものなのかはわからなかった。
ただ、その悪寒を感じた瞬間、
由真は一刻も早くここを出たいと思うようになっていた。
外はまだ雨が容赦なく降っている。
そしてその雨をしのぐ手段はない。
でも、かまわない。
ずぶ濡れになったって、かまわない。
帰れば風呂に入って温まることだってできるのだから。
それに、桃香だっているから。
桃香の作った温かい夕食だって食べられるのだから。

「決めた!早く帰ろう!」
自分の心にエンジンをかけるようにそう言うと、
由真は素早く立ち上がり、教室を後にした。
そして、駆け足で昇降口へと向かった。

廊下を駆けていても、もう誰ともすれ違わない。
まるで自分1人だけがこの世界に取り残されたようで、
何とも嫌な気分だった。
一刻も早くこの場を脱したかった。
そして、早く桃香の顔が見たかった。
桃香の顔を見れば、きっとこの心のモヤモヤは氷解する、
そう思ったから。



「!!」
由真は突如人影が現れたのに気付き、足を止めた。
「あれは・・・」
遠く離れていても、由真はすぐに気付いた。
体型、髪型、そして何よりも雰囲気。
見間違うはずがない。
その人影は、由真が一番知っている人のものだ。

そして、その人影も由真の存在に気付き、呼びかけてきた。

「お姉ちゃん?」



(END)



↓後記&拍手へのレスです☆


どもども~、チカです
なんか、急に寒くなりました
気象情報見たら、
昨日よりも気温が7度近くも落ち込んだようで
さすがに厚めの掛け布団を用意しないと

さてさて、今回は久しぶりに由真×桃香SS書いてます
とは言っても、今回のは前編で、
桃香ちゃんはあんまり出てきてませんが(汗)
1話完結にするつもりが、
いろいろ書き加えたら長くなっちゃいまして、
結局、前編と後編といったカンジで分けることにしました

なんだか、レイニーブルーなカンジの話になっちゃいましたね
大雨のなか(一応建物の中だけど)、由真ちゃんを1人にさせちゃって
レイニー止めみたいになるのはイヤだったので、
最後にあの子を登場させてます

後編も近日中、なるだけ早めにアップしますので~



ではでは、拍手にレスします~


>ねむひ様♪

相互リンク、ありがとうございます~
紹介文も気に入っていただけたようでよかったです
ねむひ様のところのリンクも、あの紹介文で結構ですよ
ステキな紹介、ありがとうございます
マジアカDS、私はクイックモードメインで、
フェニ組以下を行ったり来たりしてます
使用キャラはシャロンちゃんで、名前は「すずきゆま」です
中の人繋がりです(笑)
また、相互リンクのお礼を申し上げにそちらに伺いますので、
どうぞよろしくお願いします~


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Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

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