tangerine

百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
--年--月--日
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2008年09月15日
あなたの温もり



  そばにいてくれる
  それだけでも嬉しいのに・・・

  触れ合うことができれば、
  どんな不安も解けて無くなり、
  そして、温かい気持ちになれる

  私はきっと、アイツのこと・・・



「落ち着いた?」
「・・・うん」
「そっか、よかった」
絵里子の返事に安堵の表情を見せる香田。
しかし、ベッドに横たわる絵里子の返事はまだ力無いものであった。



あれから香田は、
もうしばらく絵里子の部屋に滞在することにした。
異常なまでに取り乱した絵里子のことを、
放っておくことができなかったから。
あまりのことに状況を飲み込めず、
動揺を隠せない香田であったが、
とりあえず絵里子を落ち着けようと、
彼女をベッドに戻したのだった。



「ごめんね、香田・・・」
「全くだよ、もう、びっくりしたんだから」
「・・・」
絵里子は香田に申し訳なくて、
何も言うことができなかった。


  あの時自分は何を思ってたのだろう?

  何を感じていたのだろう?


正直、絵里子もなぜ自分があんなに取り乱したのか、
理解できずにいた。
ただわかったことといえば、
香田がその場から消えてしまうことに、
大きな不安を感じていたことだけ。

普通、気持ちが落ち着くにしたがって、
そのような時の心境を冷静に思い出してくるものであるが、
今回に限っては、どうしても思い出せない。


  どうして自分はあんなに不安だったのだろう

  いったい何を恐れていたのだろう

  不安だったのは覚えてる

  でも、何故不安だったのかが、思い出せない


絵里子はふと横を見た。
そこには香田が座っている。

今日、ずっと会いたかった香田。
その香田が、目の前に座っている。
手の触れられるほどの距離に。


  手の触れられるほど・・・


絵里子は上半身を起こした。
「ちょっと、絵里子、大丈夫なの?」
突然動き出した絵里子に驚き、気づかう香田。
「うん、大丈夫だよ」
そう返事すると絵里子は、
少しうつむき加減になり、香田に尋ねた。

「ねぇ、香田」
「何?」
「香田の手、握ってもいい?」
「え・・・?」
香田は絵里子の意外な願いに、
一瞬何を聞かれたのか理解できなかった。
「お願い…」
絵里子は懇願した。
香田は絵里子の真意を理解できず
少し戸惑っていたが、
「いい、けど…」
そう言って、ゆっくり右手を差し出すと、
絵里子は両手で香田の手を握った。
握るというよりも、そっと添えるといった感じで優しく。



「不思議・・・」
「え?」
「何だか、こうしているだけで、
 私の心の不安とか心配とかが、
 全部消えて無くなっちゃう気がする」
「な、何を言って・・・」
「香田の手、温かい・・・」
「ど、どどど、どうしたのよ!?」
恥ずかしそうに顔を赤くする香田。
一方、絵里子のほうは、
先ほどまでのやつれた感じの表情が、
次第に穏やかになってきていた。
「ね、ねぇ、もういいでしょ?」
「だーめ」
あまりの照れくささに早く手を引きたくなる香田だったが、
絵里子はそれを許さなかった。
そんな絵里子の顔は、
すごく安らいでいて、安心感に満ち溢れていた。
「うぅ・・・」
恥ずかしさのあまり何とか手を離そうとする香田だったが、
絵里子の屈託のない表情を前に、
なすすべがなかった。
「今日の絵里子、なんか変だよ?」
「えへへ、変でもいいもーん」
ようやく笑みを浮かべることができるようになった絵里子は、
しばらく香田の手に触れ続けているのであった。



「ごめんね、香田、こんな時間まで。
 もう、大丈夫だから」
「そ、そう?」
「うんっ!
 明日学校で会おうね」
「・・・わかったわ。
 明日は学校で会おうね。
 今日あたしが働いた分、
 きっちりやってもらうんだから」
「あ、それは・・・」
「アハハ、そんじゃ、おじゃましました~」
「もう・・・
 バイバイ、また明日ねー」
香田の言葉にあきれながらも、
最後は笑顔で香田を見送る絵里子だった。



香田を見送った後、
絵里子は自分の両手を見て、
不思議な気分になっていた。


  香田に触れるだけで、こんなに気持ちが安らぐなんて・・・

  どんな不安も一気に消えちゃうなんて

  こんなこと、今までなかったのに・・・

  何だか・・・心が温かい・・・


絵里子は両手を自分の胸にあてた。
まだ手に残る香田の手の感触を体で味わうように。
ドクン、ドクン。
胸の奥にある心臓を通して、
香田の手の温もりが全身に伝わるかのようだった。

「香田・・・」
やさしい、心地いい、温かい・・・
そんな香田の感触は、瞬く間に絵里子の全身に広がった。

「まるで、香田に抱かれてるみたい・・・」

そして、絵里子は思い出していた。


  はじめて香田と会ったときの事、

  最初はいがみ合っていたこと、

  そして仲良くなったこと、

  いっしょに自治委員になったこと、

  芙蓉祭をやり遂げたこと、

  そして、修学旅行のこと・・・


いつだって側には香田がいた。
そして、そのときがすごく楽しくて、
気持ちが和んで、
一緒に何かをやり遂げたとき、すごく嬉しくて・・・。

だから、これからもずっとずっと、香田といっしょにいたくて・・・。


  そっか・・・


今まで様々な思いを交錯させていた絵里子。
悩み、苦しみ、そして癒され、
絵里子は自らの気持ちを悟るのだった。


  私、きっと・・・


  香田のことが、好きなんだ・・・


  香田に、恋してるんだ・・・



(END)



 ↓ 後記らしいです(ぇ)



続きを読む

スポンサーサイト


  私は今、アナタと2人だけの世界にいる
  …でも、

  アナタは私と2人だけの世界にはいないのかな…



そこは絵里子の部屋。
そこにいるのは病床に臥す絵里子、
そして、仲間たちより一足遅く見舞いに駆けつけた香田。
これは、その2人の空間においての話。



「香田…
 今日は大丈夫だったの?」
「ん、何が?」
突然の絵里子からの質問に、
香田はその真意をはかりかねていた。
「いや、放課後急に自治委員の仕事が入ったって聞いたから」
「あーあー」
香田は質問の意図を理解したようで、
「仕事ったって、急な会議があっただけよ。
 たいした内容じゃないのにムダに長引いたんだけどね」
と、なんてことはないといった感じで返答する
「香田、ごめんね…」
香田はああ言ってるけど、
絵里子は自分が休んでしまったばかりに全ての仕事をを香田に任せてしまった、
そのことを申し訳なく思い、謝った。
「いいっていいって。
 あたしよりも今は自分のこと気遣いなさいって」
「…うん」



その後しばらく沈黙が続く。



  私、ずっと、香田のことばっか考えてた。
  会いたくて、会いたくて、仕方なかった。
  会いたくて、そして、おしゃべりしたくて。


  そして今、ここに香田がいる。
  私の目の前に、香田がいる。
  今ここにいるのは、私と香田、2人きり。


  まるで夢のようだけど、これは現実。
  だって、会いたいという気持ちが私の中に集まって、
  固まってしまったものが、
  今はもう、すっかり融けてしまったのだから。


  香田と2人きりの時間、2人きりの世界…


  このまま、永遠に続くといいのに…



沈黙の時間はたいした長さではなかったはずなのだが、
絵里子の頭の中ではその短い時間にさまざまな気持ちが交錯して、
相当長い時間が経過したように感じられていた。



「絵里子」
「え!?」
一人浸っている中、
突然の香田の呼びかけに驚く絵里子。
「顔、赤いよ。熱あるの?」
心配そうに絵里子に近づく香田。
「そ、そんなこと…
 …って、こ、こ、香田!!?」

香田は突然自分の額を絵里子の額に押し付けた。
「ああああああ、あの、こ、こ、香田~」
香田の突然の行為に、
絵里子はまともに喋ることができなかった。
(顔が近いよー、近いってば!)
恥ずかしさのあまり、
必死に目を逸らそうとしても、
どこを向いても香田の顔が視界に入ってくる。
絵里子は力いっぱい目をつむった。
香田の顔を視界に入れない方法は、それしかなかったから。

「熱いね」
香田はそう言うと、額を絵里子から離した。
「う、うん…そうか…な…」
絵里子はようやく目を開けられるようになったが、
香田の顔を正視できずにいたため、
少し目を逸らすようにして力無く返事をした。



「私、もう帰ったほうがいいね」
「え!?」
香田の発言に、
絵里子はさっきの力無い返事とは対照的な、
大声をあげて驚いた。
「だって絵里子、まだ具合悪そうだし、
 ゆっくり休んでもらわなくちゃ。
 だから、これ以上お邪魔するわけにはいかないって」
「そ、そんな…」
香田は自分のことを気遣ってくれている、
それはわかっていたが、
絵里子はそれで香田と離れてしまうことを望んではいなかった。


  私が香田のことを邪魔になんて思うはずがないじゃない!


そう言いかける絵里子だったが、
心の中にストッパーがかかってしまった。

「それじゃ、明日学校で会おうね」
そう言うと香田は立ち上がり、
絵里子の部屋を出ようとした。



  ああ、香田が行っちゃう!

  香田と私の、2人きりの世界、2人きりの時間が、
  終わっちゃう!

  そりゃあ明日学校に行けば香田には会えるけど、
  それじゃ意味ないの!

  香田と私、2人きりじゃないとイヤなの!

  イヤ…行かないで
  行っちゃヤだ…


「イヤ!!」


絵里子は響くような大声を上げ、ベッドから飛び出した。
「な、何!?」
香田は絵里子の豹変ぶりに驚き、
絵里子のほうを振り返ると、
突然体を締め付けられるような感覚に襲われた。
一瞬のことで何が起きたのかわからず戸惑う香田だったが、
おちついてみると、
絵里子が自分のことを抱きしめていることに気づいた。

「うぇ、ひっく、えっく…」
絵里子は苦しそうに泣いていた。
香田を絶対離さないよう、力いっぱいしがみつきながら。

「絵里…子……?」



(END)



↓後記でござる


続きを読む

2008年06月15日
アイツに会いたくて


   アイツがそばにいると思うだけで…

   私の心はこんなにも満たされる…



その日、絵里子は朝から学校を休んでいた。
昨夕に引き起こした熱が冷めなかったから。

絵里子は苦しんでいた。
それは熱による苦しみもあったが、
それ以上に学校に行けないこと、
もっと言えば、会いたい友人、
一番会いたい友人に会えないことに苦しんでいた。
寂しかったし、苦しかった。

「…こんなに学校に行きたくてたまらなかったこと、あったっけ…」

絵里子はちらりと横を見る。
ベッドのそばにある携帯電話。

「これをかければ、香田は出てくれるのかな?香田と話せるのかな?」

すぐにかけたかった。
すぐに香田と話したかった。
絵里子はケータイに手を伸ばそうとした。

けど、わずかな理性が、それを止めた。
「ダメ…今、授業中だし、メイワクになっちゃう」
絵里子はケータイに伸ばしかけた腕を、布団の中に戻した。

絵里子は天井を眺め、考える。
「そういえば、自治委員の仕事、香田1人でやってるんだよね。
 大丈夫かな。
 私がいなくて大変な思いしてないかな」
病床でも香田を気づかう絵里子だったが、
自分自身も今は苦しい思いをしている。
香田のことをいろいろ考えているうちに、
いつしか深い眠りについていた。



絵里子が再び目を覚ましたとき、すでに夕方になっていた。
(もう、学校終わったよね。香田、来てくれるといいなー)
そう思った瞬間、階下より母親の声が聞こえてきた。

「絵里子ー、お友達がお見舞いに来てるわよー」
(え!?)
もしかして、香田が来てくれたの?
絵里子は嬉しくなり、胸がドキドキしていた。
そして、絵里子の部屋の扉が開く。
「こ…」

「よー絵里子ー、熱は大丈夫なのか」
「絵里ちゃん、大丈夫ー?」
そこに現れたのは香田ではなく、友人の由真と綾乃だった。
「あ…うん、今は大丈夫、だよ」
絵里子は何とか平静を装った。
今一番来てほしい人ではなかったとはいえ、
その好意を無にするわけにはいかなかったから。

由真たちも大事な友達、だから来てくれたのは嬉しかった。
自分の病状のこと、今日学校であったことなど話は弾んでいたのだが、
どことなく物足りない、満たされないものを絵里子は感じていた。
由真たちが来てくれたことだって、嬉しいはずなのに。



「そんじゃー、ゆっくり休めよー。
 明日は学校で会おうなー」
由真たちが帰るとき、絵里子は聞いてみた。
「あの…香田は?」
そこにいない香田のことがとても気になり、由真に聞いた。
「ああ、アイツ、放課後急に自治委員の仕事が入ってさー、
 今も残ってるみたいだぜ」
「…そう…なんだ……」
非常に残念に思う絵里子。
「なーに、香田は香田でちゃんとやってるって。
 だから絵里子は気にせず休んでなって」
「…うん」
絵里子は返事をしたが、
由真が笑顔で自分を気遣ってくれる嬉しさ以上に、
香田がいない寂しさが強くて、
由真に申し訳ないと思うのでだった。

由真たちが帰り、絵里子は再び一人になった。



   急な仕事があったっていうけど、
   香田、大丈夫かな?
   私がいなくて、ムリしてないのかな?



外はもうだいぶ暗くなってきていた。
(もう、香田、来ないよね…)
もしかしたら仕事の後にでも来てくれるのではと、
淡い期待を抱いていた絵里子だったが、
時間が経つにつれ、次第に諦めの気持ちも出てきていた。
(もう、寝よう。
 しっかり寝て明日は体調バンゼンにしよう。
 そうすれば、明日香田に会えるじゃないの)
絵里子はそう自分に言い聞かせ、
ふとんを顔までかぶせ、眠ることにした。
そして、もうこれ以上何も考えないようにしようと思うのであった。


   
夜の9時を回ったころ、自分の部屋の扉が開き、
その音に絵里子はふと目が覚めた。
消えてたはずの部屋の電気が点いた。

「うぎゃ、まぶしい!」
急に光が差し込んできて思わず変な声を出す絵里子。
ようやく目が光に慣れ、視界が開けてくると、
そこには人がいた。
絵里子を心配そうに見つめる少女が。

(…え、これは、夢?まぼろし?)

夢でもよかった。まぼろしでもよかった。
そばにいてほしい人がそこにいる、
ただそう思うだけでも絵里子は幸せな気分になれるのだから。

「絵里子、ごめん、起こしちゃったね。大丈夫?」

しかし、そこにいるのは、
正真正銘、香田あかり本人であった。

「香田…香田なんだね…
 香田なんだね!」
絵里子は大変嬉しくて、何度もそれが香田本人であることを確認した。
「由真から連絡あってさ、
 絵里子があたしに来てほしかったみたいだって言われたからさ」
(由真…わざわざ連絡してくれたんだ)
絵里子は由真に心から感謝した。
「遅くなってゴメンね」
「ううん、いいの。
 来てくれただけで、私、もう…」

嬉しすぎて、言葉に出来ない。
嬉しすぎて、涙が出そう。
今の絵里子はまさにそのような感じになっていたのであった。



(END)


続きを読む

2008年05月27日
甘酸っぱい想い


  私は、なんでこんなにアイツのことを求めてるの…?



「でさー…」
「いやいや、それ有り得ないからー」
「え、コレって普通じゃないの!?」
「バッカじゃねーのー」
「あはははは」

学校の休み時間、高橋絵里子はクラスメイトたちと談笑していた。
日常のこと、流行りのこと、放課後どこに行こうか。
そして誰かが面白おかしいことを言えばみんなで笑う。
それはいつもと変わらない日常。

ただ、この日絵里子にとってはいつもと違ってたことがある。
それはクラスメートで自分と同じ自治委員の香田あかりの存在。
彼女もまたいつもの談笑メンバーの一人だから、
今この空間にいることはちっとも不思議ではない。
ただ、この日の絵里子は、その香田のことばかりがとても気になっていた。



 朝、私は香田に会いたいために駆け足で登校した。
 昨日の夜から会いたかったから。
 顔を見たかったから。
 だから、朝、香田に会って「おはよう」って言われたとき、
 すごく嬉しくて、私も「おはよっ」って力いっぱい返した。

 それから、私はずっと香田の姿を追っている。

 授業を聞いてても、気がつけば香田の方ばかり見ていた。
 授業になんて、とても集中できなかった。

 誰か別の友達と話してても、
 香田が視界に入ると、つい目を追ってしまう。
 香田のほうを追ってしまう。



   香田は今何をしているんだろう

   どんな顔をしているのんだろう

   誰とどんな話をしているんだろう



 そして私は昨夕のことを思い出す。
 香田のことばかり考えていたこと、
 苦しくなったとき、香田に助けを求めたこと。



   私はなぜ香田のことがこんなにも気になるんだろう。

   私は香田に…何を求めているんだろう…。



そんな絵里子の気持ちも知らず、
香田はパック入りジュースを片手に
仲間たちと語り合っては笑っている。
思い切り休み時間を満喫している。
(人の気も知らずに…)
少し苛立ちを覚える絵里子だったが、
それでも香田のことが気になり、見つめていた。
すると…

「ん?どうしたの絵里子?」
突然香田が話しかけてきた。
「え!べ、別になんでもないけど!?」
絵里子は突然の問いかけにびっくりして、
必死にごまかそうとした。
「あら、そう?」
香田はそれ以上追及しなかったから、少しほっとする絵里子だった。

(もう…言えるわけないじゃないの、
 『香田のことが…気になって……』だなんて…)

絵里子は一人ばつが悪い思いをしていた。
恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じていた。



「これ、飲む?」
「ふぇ?」
香田からの突然の勧めに、間の抜けた返事をする絵里子。
香田が差し出したのは、先ほどまで飲んでたパック入りみかんジュース。
「えぇ!べ、別にいいよ!!」
「そう?さっきずっとこっち見てたからさー」
「うぅ、私そんな物欲しそうなカンジで見てた?」
「見てた!」
きっぱり肯定する香田が何とも憎らしかった。
「そんなんじゃないってば、もう!」
絵里子は思わず語気を荒げたが、
「じゃあなんであたしばっか見てたのかなー?」
にまにまと問い詰める香田。
絵里子は縮こまってしまった。
「うー」
縮こまりながらも絵里子は香田の意地悪に対して少し怒ったような顔を見せていた。
「まあそんな怖い顔しなさんなって。
 ほらほら、これ飲んで落ち着いてよー。
 マジでおいしいからさ」
香田はそう言って絵里子にジュースを手渡した。

(まったくもぅ、香田ったら!
 …でもまあ、いっか、これ飲めば香田もそれ以上追及してこないだろうし)
絵里子は口にストローをくわえ、ジュースを飲む

…あ、おいしい
さすが香田オススメのジュース、
酸味が強いながらも、さわやかな果汁の甘みと調和し、
飲んでてすごくいい気持ちになってくる。
先ほど動揺していた絵里子も、落ち着きを取り戻しつつあった。
冷静さを取り戻しつつあった。



   そういえば、これって、
   香田との間接…キスだよね………
   さっきまで香田が口にしていたものを、
   私が今、口にしてるんだから………



ちょっと嬉しい気持ちになる絵里子、しかし、



   …って、やだ、何考えてるのよ、私!
   別に女の子同士で回し飲みしてるだけなのに、
   なんでそれがそういう考えになっちゃうのよ!
   ありえない…ゼッッッタイありえないから!!



バカみたいな思考はさっさと消し去ってしまおうと思い、吸う力を上げる絵里子。
あっという間にジュースを飲み干してしまった。



「ねー、美味いっしょ?」
「え?…あぁ、うんうん!」
かなりわざとらしい反応だなと自分でも思った。
けど、香田は大袈裟さに気付く気配は無い。
「それ、このごろ新発売されたヤツでね、
 飲んでみたらすっごく美味かったからさー、
 最近あたしの中でブームなワケよー」」
「そう、なんだ…」
香田は楽しげに話しており、絵里子もそれに応えようとしたが、
絵里子は香田の口元が気になって仕方なかった。
そして、さっき考えてたことを思い出して、恥ずかしくなった。



放課後、家に帰り、昨日と同じく早速ベッドに転がる絵里子。
絵里子は天井を見上げ、今日のことを思い出していた。
自治委員としての活動、
ずっと香田ばかりを見ていたこと、
ずっと香田のことばかり考えてたこと、
(………香田のことばっかりじゃん)



そして、香田からジュースを分けてもらったときのこと。
あの時考えてたことがどうしても忘れられなかった。
香田との間接キス、香田の唇…。
絵里子は右手中指を自分の唇にあてて考える。



   香田にもいつか、彼氏ができるのかな?
   そして、私の知らないところでその人と
   出かけたり遊んだりするのかな?
   そして、その人とキスしちゃったり………



そう考えた瞬間、



   そんなの…イヤ……イヤだよ………!



絵里子の体の中に火がついた。  


 
   香田が誰か大事な人を作って、
   私の知らないところで私の知らないことをするなんて…
   デートだって、キスだって…そして………
   そんなの………イヤ!!



絵里子はだんだんと苦しくなっていった。
昨日と同じ苦しみ、しかしその苦痛は昨日のそれを越えるものだった。

熱い…!苦しい…!

絵里子の顔は真っ赤になり、呼吸が非常に乱れていた。



トントントン、ガチャ
「ねーちゃん、また寝てるのか?」
弟の大地はノックし、絵里子の部屋の入る。
そして、苦しむ絵里子を見て仰天した。
「ねーちゃん!?どうしたんだよ!
 …うわっ、すごい熱じゃないか!?」

体温計で計ったところ、絵里子の体温は39度5分。
38度7分でも頭の回転が鈍る以外はわりと平然と生活できる絵里子でも、
この高熱には敵わなかった。

絵里子は母親によってパジャマに着替えさせられ、
ベッドに寝かされた。
「ゆっくり休んだほうがいいわ。
 明日は学校も休んだほうがいいかもしれないわね。
 無理せず今日はもうおやすみなさい」
母はそう言うと部屋の電気を消して出て行った。



一人残された絵里子は、苦しみのなか、ある人の名前を呼んでいた。
今、一番そばにいてほしい人の名前を。



「香田………」



(END)


続きを読む


  なんでアイツのことが…

  こんなにも気になるんだろう…



それは、季節が夏から秋に変わってしばらくたち、
そろそろ肌寒さをも感じられるようになった頃の話。

私立山咲女子学園富士高等学校2年生は先週に修学旅行が終わり、
生徒たちは校外で得た貴重な経験に対する興奮を残しながらも、
少しずつ日常を取り戻しつつあった。

修学旅行で各クラスを代表する生徒のことを旅行委員というが、
松組に所属する高橋絵里子もその一人であった。

今、校舎の会議室で修学旅行の結果・反省を取りまとめる
最後の旅行委員会が行なわれているが、
それももう終わろうとしている。
そして、委員会の進行役の「今までお疲れ様でした」の声があがり、
その年の旅行委員会は解散した。

「あーあ、とうとう終わっちゃったんだなー」
背伸びしながらそう漏らす絵里子。
これで絵里子は旅行委員としての役目を全うしたことになる。

「絵里子、ごくろうさん」
「おつかれ、絵里ちゃん」
絵里子はクラスメートたちの信望が厚く、クラスの人気者。
クラスに戻ると、クラスメートみんなが絵里子を労ってくれていた。
「ありがとう、みんなのおかげだよ」
絵里子は嬉しくなり、そう返した。

そんな中、
「絵ー里ー子っ!」
「うわっ」
後ろから抱き付いてきたのは香田あかり、
彼女も絵里子と同じく旅行委員であった。
「絵里子、ホントにおつかれちゃん」
「クスッ、香田もね」
大仕事をやり遂げた達成感、
クラスのみんなからの労いの言葉に加え、
香田に後ろから抱かれる感触がとても心地よくて、
絵里子は至福に浸っていた。



しかし、そんな幸せも長くは続かなかった…。



「おりゃー!」
「むぎゃ~!」
突然香田はそのまま絵里子にさば折りを仕掛けたのである。
絵里子は突然の苦しみに、まるで怪獣の鳴き声のような声をあげてしまった。
体がミシミシ言ってる気がするのは多分気のせいではない。
「うぎゅ~、ロープロープ~」
絵里子はかろうじて動く右腕であるはずのないロープを必死に探していた。
〈その後、香田はクラスメートたちからリンチを受けたということを、
 特に必要な情報ではないかもしれないが、一応記しておく〉



「まったく、香田ってば!」
空気を読まない香田のいたずらに少し怒りながら、
絵里子は自宅に戻った。

そしてすぐさま自分の部屋に入ると、制服のままベッドに横たわった。
「うーん、ふかふか、気持ちいい~」
絵里子は先ほどの学校でのことを思い出していた。
「旅行委員、大変だったけど、やってよかったなー。
 みんなにあんなに感謝してもらえて、すごく嬉しい。
 香田もなんだかんだでがんばってくれてたし、すっごく楽しかった。」
思い出してみると、自然に笑みがこぼれる絵里子。
しかし、


”香田、か…”


絵里子は少し落ち着いたような顔になり、
同じ旅行委員として苦難をともにした香田のことを考えていた。



  最初香田に抱きつかれたときは、
  すごく気持ちよかったっていうか、
  何だか、すごくほっとした気分になっちゃったなー。

  …そういえば香田とは、
  今回の旅行委員のほかにも、
  文化祭の運営委員もやったんだっけ。
  あの時もすごく忙しかったけど、
  なんだかんだでけっこう楽しかった気がする。
  バラバラだったクラスが一つにまとまったんだし。
  そして、今回の旅行委員も…



絵里子は目を閉じて、さらに考える。



  何だか、香田とならどんなことでも出来そうな気がする。
  どんなことでも楽しくやれそうな気がする。

  これからも香田といっしょにいろんなことができるのかな?
  うん、きっとできるはず。
  だって、香田は言ってくれたんだもん。



  ―10年後もいっしょ―



  だから、香田とは今後もいろんなことを経験して、
  どんな難しいことでも乗り越えていって、
  お互いに喜び合って…



自然に自分の胸に左手をあてる絵里子。



ドキンドキン、ドキンドキン



(あ、あれ?)

気がつくと、絵里子の胸は溶けそうなほどに熱くなっていた。
そして、胸の鼓動が次第に大きく、そして速くなっていった。

(な…何なの、これ…)

今まで味わったことの無い感覚に、絵里子は戸惑いを隠せない。
鼓動は次第に強く、そして速くなっていく。

(まるで、心臓が張り裂けそう…)

絵里子は両手で必死に胸をおさえていた。
その両手、特に胸に近い方の左手には、
大きなバクンバクンという鼓動が伝わっていた。

(お願い、落ち着いて!落ち着いてよ!
 じゃないと…私、このまま死んじゃいそう)

何かから身を守るかのように膝を上げ、体を丸める絵里子。
絵里子の目には涙が溜まっていた。
今まで味わったことの無い感触に、絵里子は苦しみ、恐怖、不安を抱いていた。



  助けて…香田…!

  すぐ来て…香田……!

  香田…香田………!



チャーチャーチャーチャチャーララーラー♪



「ハッ!」
突然流れた「キラメク」のメロディーに、絵里子は我に帰った。

まだ心臓はドキドキ言ってるが、先ほどのバクンバクンに比べれば、
かなり落ち着いたほうである。
「ハァ、ハァ…」
まだ息切れはしていたが、先ほどに比べれば、
呼吸も楽になっていた。

落ち着きを取り戻した絵里子は音源に手をやった。
「キラメク」は、絵里子の携帯電話にメールが来たことを伝えていた。
絵里子は先ほどの事態に疲れた表情をしながらも、
その内容を確認した。


 ”やほーい、絵里子はもうおうち帰ったのかにゃ?
  今まで委員たいへんだったね~。
  ホントにオツカレーショーン(^0^)
  今日は久々に早く帰れたからもう寝ちゃうNe☆
  グンナーイ-_-)/~~
  by いつも心に太陽を! あかりん”


「…香田ったら」
思わずクスッと笑う絵里子。

絵里子は香田からのメールに”香田もおつかれ、おやすみ”とだけ打って返信した。
香田のことだから、
長々と時間かけて文章を打ったところで、返信を待たずしてガン寝するであろうことを、
絵里子は知っていたから。
せめて香田が起きているうちに返したいと思っていた。

その後香田からメールが来ることは無かったが、
自分のメールを見て床に就いたんだろうなと思うと、
何だか嬉しい気持ちになる絵里子だった。。
先ほどのような苦しみ・恐怖・不安はもう無い。



  何であんなに苦しかったんだろう?
  何であの時香田に助けを求めたんだろう?
  そして、何で香田からのメールを見たとたん
  苦しさが無くなったんだろう?



絵里子は枕を抱きながら考えていた。



  …何だか今、すごく香田に会いたいな。
  別に話題とかあるわけじゃないけど、
  今ここに香田がいれば…



  早く…明日に、ならないかな?



  明日になれば、また香田に会えるから…



目を閉じてそのようなことを考えてしまう絵里子だったが、
疲れていたせいか、そのまま彼女は眠ってしまうのであった。



  …この気持ち、いったい何なんだろう?



(END)



↓ 後記なのです


 

続きを読む

FC2カウンター

プロフィール

チカ

Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
ブログ内検索

RSSフィード
ブロとも申請フォーム
QRコード

QRコード

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。