tangerine

百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
--年--月--日
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2009年09月12日
Thanks for my parents

「お誕生日ってね、
 お父さんやお母さんに自分を産んで育ててくれたことを感謝する日なんだよ」

赤くて長い髪を大きなリボンで結んだ小さな少女はそう言った。



9月12日。
昨年までライラはこの日もいつもと変わらない日常を送っていた。
幼い頃は、年に1度しか来ない、特別な日であったのに。

両親と弟が失踪し、ただ1人取り残された自分にとって、
その日が特別であるという感覚は、いつしか消え失せてしまっていた。

幼い頃は、両親が失踪したとわかっていても、
この日だけは帰ってきてくれると期待していた。
1年目は強く、2年目はもしかしたらと、
しかし、3年目からは今年もかと思うようになり、
4年目にはもう、期待をすることすら忘れてしまっていた。

そんな時間の流れの中で、
ライラの心は次第にまるで凍てつくかのようになっていった。
賢者にならなければならない。
賢者になって、両親と魔人との戦いの真相を解明しなければならない。
ただそのことだけを考えて、マジックアカデミーに入学した。



そんなライラに待ち受けていたのが、1人の少女との運命の出会い。
幼さを残すその少女の名はアロエ。

ライラはアロエと付き合っているうちに、
その凍てついてた心を少しずつ融かしていったのだった。
いつしかライラにとっては、アロエとともにいる時間がとても楽しいものと思えるようになり、
少しずつ自分の境遇についても伝えるようになっていった。
最初はあまり人に話すようなことではないし、
あまり話したくもなかった内容ではあったが、
いつしかアロエには何でも話せるようになっていたし、
また、アロエもライラの話を親身になって聞いてくれていたから、
そうすることで、自分の気持ちも楽になっていく気がしていた。



そして今年もまたやって来たこの日。
ライラはこの日のことをアロエに伝えていた。
別に祝ってほしいとかそういう気持ちではなかったが、
この日のことをアロエだけにはなぜか教えたい気がしたのだった。
そうしてアロエの口から出てきたのが、その言葉だった。



「両親に、感謝?」
ライラはアロエの言葉をすぐに理解できず、
少し戸惑っていた。
「そうだよ。
 だって、お父さんとお母さんが自分のことを産んで育ててくれたから、
 楽しいことをいっぱいいっぱいできるんだもん。
 アカデミーのみんなと出会うことだってできたし」
アロエは本当に心の底から嬉しそうに話していた。

「そして、何よりも・・・」
ほんの少し、しかし実際よりも長く感じられた時間。
その短くも長い間を置いたのち、アロエは言葉を続けた。


「ライラちゃんに出会うことができたのが、すごく嬉しい」


アロエはまるで天使のような愛らしい笑顔をライラに向けていた。



「アロエ・・・さん」
そんな笑顔の前に、
ライラは自分の中で、また何かが融けていくかのような感覚をおぼえていた。

「ライラちゃんは、お父さんとお母さん、好き?」



ライラは自分の両親を面影を思い浮かべた。
現在失踪中の両親。
身を呈して魔人を封じたにもかかわらず、
世間からは魔人との内通を疑われている両親。

そして考えた。
自分は、何のためにアカデミーに入ったのか。
それは、魔人封印の真相を知りたかったから。

けど、ただ知りたかったからだけではない。
自分は証明したかったのだ。
両親は潔白であるということを。
どうしてか・・・
そんなことは決まっている。

ならば、その問いかけに対する答えは・・・



「ああ、大好きだぞ」
そう答えるライラの顔は、
聖母のようにやさしくて美しいものであった。



「やっぱりそうなんだー。
 ライラちゃんって普段はとても落ち着いてるのに、
 お父さんとお母さんのことになると、
 一生懸命になっちゃうもんね」
「そ、そうか」
どうやらアロエには見透かされていたようだったが、
ライラは特に悪い気はしていなかった。
「アロエはね、そんなライラちゃんが大好きだよ」
そう言うとアロエは、ライラに抱きつき、
彼女の頬にキスをした。
「ア、アロエさん!?」
「えへへ、私からライラちゃんへのお誕生日プレゼントだよー」
ライラは少し恥ずかしく感じたが、
アロエの無邪気な笑顔を見ていると、次第にそれが嬉しさへと変わっていくのだった。



「お誕生日おめでとう、ライラちゃん」
「・・・ありがとう」



  本当にありがとう、アロエさん
  今思えばきっと、私がアカデミーに入ったのは、
  アロエさんのような人に出会うためなんだったと思う

  私はきっと、心が凍りつくのをそのまま受け入れておきながら、
  一方で誰かに融かしてほしかったのだ
  誰かに温めてほしかったのだ

  だから、これからも・・・
  私のそばに、ずっといてほしい・・・
  ずっと、私の心を温めてほしい



「お父さんとお母さん、早く見つかるといいね」
「ああ、必ず見つけてみせる」
そして、このアカデミーのみんなのことを教えたい。
アカデミーには、こんなにも素敵な学友達がいるのだということを。
そして・・・自分のことをとても理解してくれて、応援してくれる、
いつもそばで心を温めてくれる、純粋で愛らしい、小さな天使がそばにいることを。



(END)



↓あとがきです


続きを読む

スポンサーサイト
FC2カウンター

プロフィール

チカ

Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
ブログ内検索

RSSフィード
ブロとも申請フォーム
QRコード

QRコード

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。