tangerine

百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
--年--月--日
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2009年07月04日
姉妹だから

「もう、お姉は天気予報見てなかったのですか?」
「いやー、だって出かけるときはあんなに晴れてたから、
 まさかホントに降るなんて思わなかったんだよねー」

ここは興宮にあるとあるマンションの一室。
園崎詩音が現在隠れ家として使用している一室の玄関に、
双子の姉の魅音が来ていた。
「水も滴るいい女」という言葉があるが、
いい女かどうかはともかく、
その言葉は現在の魅音の有様をそのまま表していた。

外はまるでバケツどころか浴槽いっぱいの水を逆さにしたかのような豪雨。
魅音の言うように、つい30分ほど前までは空は雲ひとつ無い晴天であったが、
それから興宮一帯をどす黒い雲があっという間に覆い始め、
滝のような雨を降らせたのである。
そのような豪雨がおもちゃ屋でのバイトが終わり、
帰宅途中だった魅音を襲ったというわけである。

これほどの豪雨では傘なんか差しても気休めにしかならない。
まして傘もレインコートも持たない状態で外を出歩くような酔狂な行為に出るものなど、
いるはずがあろうか。

(・・・目の前に、いました)
詩音は姉の無謀とも取れる行動にため息をついた。

「ぶぇっくしょい!ぶるぶるぶる~」
魅音は年頃の少女とは思えない豪快なくしゃみをすると、
犬みたいに体を震わせて水を弾き飛ばしていた。
「ちょっと、玄関が濡れちゃうからやめてください!」
自分と瓜二つの存在がやらかしている行為を目の当たりにし、
自分は絶対こんなバカみたいなことはしないでおこう、
そう肝に銘じる詩音であった。



「お姉、このままだと風邪ひいちゃいますから、
 お風呂に入ってくださいね。
 替えの服、用意しておきますから」
「う~、ありがと、詩音」
着ている服が水を含んで重さを増していたせいか、
魅音の脱衣所へと向かう足取りは重かった。



「まったく、しょうがないお姉ですね」
詩音は呆れながら魅音の替えの服を用意していた。
魅音の来ていた服はぐっしょり濡れているため、
乾燥機やドライヤーを使ってもすぐには乾きそうにはない。
衣装ケースにはちょうど魅音が着ていた服と同じタイプのものがある。
これはかつて、自分が聖ルチを抜け出してしばらく、
詩音としての自由を得られなかったとき、
魅音になりすましてたときに着ていたものである。
詩音としての自由を得られるようになってからは、
これを着る機会も無く、ずっとしまいこんだままになっていた。
それを、またこうして使う機会が訪れようとは。
もっとも、今回これを着るのは魅音本人だけれども。

「いっくよー!(^o^)/ 今日も部活だよっ! ファイト!o(^_^)o」

風呂場からは魅音の歌声が聞こえる。
体が温まってきたのか、とても気分よさそうにしている。

「お姉ったら」
お風呂で歌いだすなんてオヤジくさいなと思いつつも、
魅音が調子を取り戻してきているんだなとわかると、
詩音は少し嬉しくなってきていた。



「お姉、バスタオルと着替え、ここに置いておきますからね」
「あいよー」
詩音はバスタオルと替えの服・ズボンを脱衣所の棚の上に置いて、
ふと魅音の濡れた服の入った脱衣カゴに目をやった。
(あら、これって・・・)
目に付いたのは、魅音が脱ぎ捨てていた下着。
(やっぱり今日もお姉と私、同じ下着なんだ・・・)

魅音はランジェリーショップに入るのが苦手なため、
下着の購入は詩音が代わりにやっている。
その際、詩音は必ず同じ柄のものを2人分買うのである。
魅音の分と、詩音の分。
そして、どの日にどの下着を着けるのかをお互いで取り決めて、
2人おそろいの下着を着けようと、2人の間で約束をしている。

だから、こうして自分と同じ下着を着けていたということは、
魅音がその約束をきちんと守ってくれているということ。
詩音はそれを思い、より嬉しくなっていくのを感じていた。



(下着も雨で濡れちゃってる。
 これも替えを用意しておいたほうがいいかな?)
でも・・・
(これ、さっきまでお姉が着けてたんだよね。
 今、私がつけているのと同じものを・・・)
そんなことを意識すると・・・。

ドキドキ、ドキドキ

詩音の中に、何か奇妙な感情が芽生えつつあった。
そして・・・。



「この様子だと、まだまだ止みそうにないから、
 葛西に送ってもらうことにしますね」
「いやー、助かるよー、ありがと、詩音!
 葛西さんにもお礼言っておくね」
「ふふ、どういたしまして」

魅音が風呂から上がり、
2人はしばらくお菓子を食べながらおしゃべりをしていたが、
すっかり空が暗くなってしまうと、
魅音は葛西の運転する車で雛見沢へと帰っていった。



「お姉、帰っちゃったな・・・」
先ほどまで2人で仲良く盛り上がっていたのに、
自分ひとりになると、それが嘘だったかのように静まり返ってしまった。
外から豪雨の音が聞こえてくる分、
かえって自分ひとりだけの部屋の静けさがいつもより強く感じられた。

もっとお姉と話したかった、
もっとお姉と笑い合いたかった、
もっとお姉をからかいたかった・・・

ぼんやり外を眺める詩音にそのような気持ちが去来する。
そして、姉妹なのに2人いっしょに過ごせない現実に、
悲しさや寂しさを感じていた。



魅音とは離れて暮らしてはいても、
電話で頻繁にやり取りをしている。
だから、なかなか会えないからといって、
会ってないときは全くの疎遠というわけではない。
自分が詩音としての自由を得られるようになってからは、
特に魅音との距離が近づいたような気がする。
より「姉妹」の関係に近づいてきている気がする。

だから、自分は困惑する。
近いのか遠いのか判断に悩む、この微妙な距離感に。

姉妹だから、少しでもあの子の存在を強く感じたい・・・。
姉妹だから、少しでもあの子と一緒にいたい・・・。
姉妹だから、少しでもあの子とふれあいたい・・・。
姉妹だから、姉妹だから・・・。



そんなことを考えていた詩音は、
いつの間にか自分の胸に両手を当てていた。
そして詩音は胸から湿気を感じていた。
胸だけではない。
下半身からも、詩音は湿気を感じていた。
湿気の原因は、今もなお降り続ける雨。
ドライヤーで少し乾燥させたものの、
完全に乾かしきるまでには至ってなかった。



「何だか私、すっごくバカなことしちゃってるな」
詩音は苦笑して、自虐的にそうつぶやいた。
脱衣所で自分と魅音がおそろいの下着をつけているとわかったとき、
どうして、何を考えてこのようなことをしてしまったのか、
それは今の詩音自身にもわからないことだった。

「私・・・すごく、ドキドキしている」
それは、罪悪感から来るものではなく、
先ほどまで魅音が着けていたものを自分が着けることで、
魅音の存在を、胸から、下半身から直に意識していたから。
今もなお魅音が側にいてくれているような気がしていたから。

それに、魅音もさっきまで自分が着けてた下着を着けている。
魅音には言ってないから、気付かないだろうけど。
今魅音が下着から受け取っている温もりは、詩音の温もり。
気付いてほしくないと思う半面、
気付いたらどんな反応をするだろうとちょっとだけ興味もあった。
もっとも、真実を教える勇気はなかったけど。



変なことをしているという自覚はある。
でも、きっと自分はこうしてでもあの子とは少しでも長く多くふれあっていたかったんだ。
ううん、私が変なんじゃない。
姉妹なのに遠く引き離されてるこの状況の方が変なんだ。



だから、いいよね?
こういう形で、
魅音のことを、詩音が意識したって。
詩音の温もりを、魅音に分けてあげたって。



だって私たち、どんなに離されていたって・・・



姉妹だから・・・



(END)



↓ 後記 & 拍手ありがとうございます☆


続きを読む

スポンサーサイト
FC2カウンター

プロフィール

チカ

Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
月別アーカイブ
リンク
ブログ内検索

RSSフィード
ブロとも申請フォーム
QRコード

QRコード

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。