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百合とかGLとかガールズラブとか、いっぱいいっぱい書きたいですvv

 
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2009年09月12日
Thanks for my parents

「お誕生日ってね、
 お父さんやお母さんに自分を産んで育ててくれたことを感謝する日なんだよ」

赤くて長い髪を大きなリボンで結んだ小さな少女はそう言った。



9月12日。
昨年までライラはこの日もいつもと変わらない日常を送っていた。
幼い頃は、年に1度しか来ない、特別な日であったのに。

両親と弟が失踪し、ただ1人取り残された自分にとって、
その日が特別であるという感覚は、いつしか消え失せてしまっていた。

幼い頃は、両親が失踪したとわかっていても、
この日だけは帰ってきてくれると期待していた。
1年目は強く、2年目はもしかしたらと、
しかし、3年目からは今年もかと思うようになり、
4年目にはもう、期待をすることすら忘れてしまっていた。

そんな時間の流れの中で、
ライラの心は次第にまるで凍てつくかのようになっていった。
賢者にならなければならない。
賢者になって、両親と魔人との戦いの真相を解明しなければならない。
ただそのことだけを考えて、マジックアカデミーに入学した。



そんなライラに待ち受けていたのが、1人の少女との運命の出会い。
幼さを残すその少女の名はアロエ。

ライラはアロエと付き合っているうちに、
その凍てついてた心を少しずつ融かしていったのだった。
いつしかライラにとっては、アロエとともにいる時間がとても楽しいものと思えるようになり、
少しずつ自分の境遇についても伝えるようになっていった。
最初はあまり人に話すようなことではないし、
あまり話したくもなかった内容ではあったが、
いつしかアロエには何でも話せるようになっていたし、
また、アロエもライラの話を親身になって聞いてくれていたから、
そうすることで、自分の気持ちも楽になっていく気がしていた。



そして今年もまたやって来たこの日。
ライラはこの日のことをアロエに伝えていた。
別に祝ってほしいとかそういう気持ちではなかったが、
この日のことをアロエだけにはなぜか教えたい気がしたのだった。
そうしてアロエの口から出てきたのが、その言葉だった。



「両親に、感謝?」
ライラはアロエの言葉をすぐに理解できず、
少し戸惑っていた。
「そうだよ。
 だって、お父さんとお母さんが自分のことを産んで育ててくれたから、
 楽しいことをいっぱいいっぱいできるんだもん。
 アカデミーのみんなと出会うことだってできたし」
アロエは本当に心の底から嬉しそうに話していた。

「そして、何よりも・・・」
ほんの少し、しかし実際よりも長く感じられた時間。
その短くも長い間を置いたのち、アロエは言葉を続けた。


「ライラちゃんに出会うことができたのが、すごく嬉しい」


アロエはまるで天使のような愛らしい笑顔をライラに向けていた。



「アロエ・・・さん」
そんな笑顔の前に、
ライラは自分の中で、また何かが融けていくかのような感覚をおぼえていた。

「ライラちゃんは、お父さんとお母さん、好き?」



ライラは自分の両親を面影を思い浮かべた。
現在失踪中の両親。
身を呈して魔人を封じたにもかかわらず、
世間からは魔人との内通を疑われている両親。

そして考えた。
自分は、何のためにアカデミーに入ったのか。
それは、魔人封印の真相を知りたかったから。

けど、ただ知りたかったからだけではない。
自分は証明したかったのだ。
両親は潔白であるということを。
どうしてか・・・
そんなことは決まっている。

ならば、その問いかけに対する答えは・・・



「ああ、大好きだぞ」
そう答えるライラの顔は、
聖母のようにやさしくて美しいものであった。



「やっぱりそうなんだー。
 ライラちゃんって普段はとても落ち着いてるのに、
 お父さんとお母さんのことになると、
 一生懸命になっちゃうもんね」
「そ、そうか」
どうやらアロエには見透かされていたようだったが、
ライラは特に悪い気はしていなかった。
「アロエはね、そんなライラちゃんが大好きだよ」
そう言うとアロエは、ライラに抱きつき、
彼女の頬にキスをした。
「ア、アロエさん!?」
「えへへ、私からライラちゃんへのお誕生日プレゼントだよー」
ライラは少し恥ずかしく感じたが、
アロエの無邪気な笑顔を見ていると、次第にそれが嬉しさへと変わっていくのだった。



「お誕生日おめでとう、ライラちゃん」
「・・・ありがとう」



  本当にありがとう、アロエさん
  今思えばきっと、私がアカデミーに入ったのは、
  アロエさんのような人に出会うためなんだったと思う

  私はきっと、心が凍りつくのをそのまま受け入れておきながら、
  一方で誰かに融かしてほしかったのだ
  誰かに温めてほしかったのだ

  だから、これからも・・・
  私のそばに、ずっといてほしい・・・
  ずっと、私の心を温めてほしい



「お父さんとお母さん、早く見つかるといいね」
「ああ、必ず見つけてみせる」
そして、このアカデミーのみんなのことを教えたい。
アカデミーには、こんなにも素敵な学友達がいるのだということを。
そして・・・自分のことをとても理解してくれて、応援してくれる、
いつもそばで心を温めてくれる、純粋で愛らしい、小さな天使がそばにいることを。



(END)



↓あとがきです


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2008年11月06日
週末の女教師たち

「ふぅ、これで今週のお仕事も終わりね」
週最後の日の放課後、
マジックアカデミーの教師アメリアはその週の指導を終え、
自分のクラスから職員室へと向かっていた。
個性豊かな生徒たちが集う自分のクラスは、
担任をしててとても楽しいのであるが、
半面、とても疲れることでもあった。
「はぁ、明日はゆっくり休もうっと」
ため息混じりにそう自分に言い聞かせ、
職員室に入るアメリア。
すると…



「アメリア先生、明日いっしょにお出かけしない?」
「え?」
声をかけてきたのは先輩教師のリディア。
エルフ族独特の長い耳が特徴だ。
「あの、どこにですか?」
急な誘いに戸惑うアメリア。
「そうね。お買い物とか、お食事とか…。
 そうね、アメリア先生のお好きなところならどこでもいいわ」
「え、えぇ!?」
自分を誘ったわりには何も考えていないことがわかり、
アメリアは反応に困っていた。
「私はアメリア先生と2人きりで過ごせるのなら、どこでも結構ですから。ふふっ」
両手の指を合わせながら嬉しそうににこにこしながらそう言うリディアであったが、
アメリアとしては疲労が溜まっているため、明日はゆっくり休みたい。
悪いとは思いつつも、
「あの、明日はちょっと…」
そう言いかけた瞬間…。



「待ってよ!」
そこに現れたのは、独特のコスチュームを身にまとった、
見た目は10歳ほどの少女。
しかし、実際はれっきとしたアカデミーの教員で、
勤務歴はかなり長く、
アメリアがかつてアカデミーの生徒だった頃にはすでに教員として勤務していた。
「マロン…先生?」
助け舟が来たと思い、
少し安堵するアメリアであったが、そうは問屋が卸さなかった。
「明日はね、アメリアちゃんは私と映画見に行くんだから」
「え、えぇ~!?」
そんなことは聞いてません、そう言いたくなるアメリアであった。



「あら、マロン先生、明日のことは私が先に約束しておいたんですけど」
(約束なんてしてません)
「何だよー。私はね、何年も前からずーっとアメリアちゃんと付き合ってるんだから」
(付き合ってません)
「そんなの知りませんわ。私は私でアメリア先生のことを想ってますし」
(想ってる?思ってるじゃなくて!?)
「う~、私の恋人を取っちゃダメだよー」
(恋人じゃないんですってばー!)



「あ、あのー」
自分もいいたいことがあって、
言い争いを始めた2人を何とか止めようとするアメリアだったが、
「「アメリアちゃん(先生)は黙ってて(黙ってて下さい)!
  これは私たちの問題なんだから(なんですから)」」
と一喝され、2人はまた口ゲンカを続けたのだった。

「…あのー、私の意思は…」
アメリアは弱い声でそう尋ねたが、
2人には聞こえていないのか、聞こえないふりをしていたのか、
全く気にとめる様子は無かった。



「ふふ、アメリア先生も大変ね」
「ミランダ先生…」
そこに突如現れたのは先輩教師のミランダ。
スタイルのいいボディーを露出の多い服装で覆っている。
保健室の先生で、生徒教師問わず悩み事の相談に乗ってくれて、
アメリアも困ったとき、とても頼りにしている。
「ミランダ先生、2人を止めてください~」
この先生ならきっと事態を収拾してくれる、
そう思ったアメリアは、ミランダに助けを求めた。
それに対しミランダは、
「うーん。今はお互い熱くなっているから、
 無理に止めるのは、かえって2人を刺激しちゃうかも…」
と、右手の人差し指をあごにあて、
少し考えたような仕草をしながらそう言うと、
「今は放っておきましょ?」
と、笑顔で答えてきた。
(そ、それでいいのかな…?)
心配を拭えないアメリアだったが、
ミランダは表情を変えることなく争う2人を眺めていた。
むしろ、この状況を楽しんでいるかのようだった。



「そうそう、アメリア先生」
「あ、はい」
突然のミランダからの呼びかけに驚き、
アメリアは少し声をひっくり返して返事をした。
「明日、2人でピクニックに行かない?
 天気いいみたいだし」
「え、えぇ~!?」
ミランダ先生、あなたもですか!?
心の中でそうツッコむアメリア。

すると…
「「ちょっと、ミランダちゃん(先生)、
  どさくさにまぎれて私のアメリアちゃん(先生)に
  何してるのかな(ですか)!?」」
ついさっきまで言い争いをしていたリディアとマロンが
声をはもらせてミランダに詰め寄った。
「あらあら、聞こえちゃったかしらー」
困ったような笑い方をするミランダ、
しかし、心底困っているという感じでもない。
口論を止めてくれると思っていたミランダ自身、
いつの間にか口論に加わってしまい、
事態は収まるどころか、さらにヒートアップしてしまった。



「とにかく、明日アメリア先生は私とお買い物・お食事デートすることになっていますわ。
 おそろいのものを買って、お食事は私があーんってして…。
 あぁ、もうアメリア先生ってば、なんてカワイイのかしら!」
「違ーう!私と最新作アニメの映画見に行くんだよー!
 アメリアちゃんと2人で感動を分かち合って、
 絆を深めていくんだから~、はにゃーん」
「あら、私と近くのお山までピクニックよ。
 蒼々とした広い広い草原のなかには、私とアメリア先生の2人だけ…。
 静かだけど素敵な時間が、ゆっくりと、ゆっくりと流れていくのよ」



両手を顔に当て、頬を真っ赤に染めるリディア、
虚ろな目をして、口からは少しよだれをたらすマロン、
目を閉じて、ほのかに頬を染めるミランダ。
さっきまで言い争っていたはずの3人は、
いつしかそれぞれ妄想の世界に入っていた。



「あの、だから、私の意思は…?」
現実の世界にただ1人取り残されたアメリアは、
何もなすすべがなく、ただ呆然と立ちつくす以外ないのであった。
週の終わり、最後の最後でずしっと疲労感がのしかかる、アメリアであった。



(END)



  ↓後記でーす


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2008年11月02日
あなたといっしょ

「うりゃ、とりゃー!」

今日も私は日課の放課後自主トレーニングをしていた。
何にも縛られず、自分の好きなように体を動かせるので、
とても気持ちがよく、ついつい気合を入れてしまう。

けど、最近は特に気合が入ってるみたいで、
我ながら拳筋がいいように思える。
どうしてなのかは、もうわかってる。
私には、自分ががんばっているところを見てほしい人がいるから。

一通りのメニューをこなして私は一息入れた。
そして、耳を澄ますと、
たったったっと、音が聞こえてきた。
間違いない。
そこまで超人的な聴覚を持ってるわけではないけど、
数多くある足音のなかでも、
この足音がそれだとは、なぜかわかってしまう。
そしてこの音を聞くと、自然と胸がときめいてくる。
その音が次第に近づいてくると私は、
もう待っていることができず、
自ら足音の主のところまで駆け寄っていくのだった。



「今日はレモンのクッキー作ってきましたよ」
「ありがと、いつも悪いね」
そう言って私はクララがバスケットに入れて持ってきた、
平べったいレモンの形をしたクッキーを取り、
ぱくっと口に入れた。
さくっとした食感の後から出てくるレモンの甘みと酸味が、
トレーニングでいじめぬいた体を癒してくれる。
「うん、すっごくおいしいよ」
「ふふ、気に入っていただけてよかったです」

「クララもいっしょに食べよ?」
「え?でもこれ、ユリさんのために作ったものですし」
「いくら食いしん坊な私でも、こんなにいっぱい食べきれないからさ。
 それに、こないだのタルトみたいに私だけ食べてるのもアレだしさ。
 ね?」
「そうですか…そういうことでしたら」
そう言うとクララも自らが作ったクッキーをバスケットから取り出し、
食べ始めた。
私がそのままかじりつくのに対し、
割って少しずつ食べるところがクララらしいなと思った。



私はクッキーを食べながらクララを見ていた。
クララには気付かれないように。

ぱっちりとした大きな目、
長い髪を2つの三つ編みでお下げにした髪型、
細い体、細い腕、
細くてきれいな指、細くてきれいな足。
そして、とってもおしとやかで、
お菓子作りが好きで…。

クララは本当に女の子らしくて、
同じ女の私でもドキッとしてしまう。

クララのことを知るたびに、私は意識してしまう。
クララと私、同じ女なのに、全然違うということを。
クララは私の持ってないものを、たくさん持っているということを。
そして、私はそんなクララにあこがれているのだということを。



そんなことこんなこと、いろいろ考えをめぐらせて、
ようやく現実に帰ると、私は驚いた。
クララも私の方を見つめていたから。
それも、私はというと気付かれないようチラ見しかしていなかったというのに、
クララはというと、
穏やかな笑顔で嬉しそうにこちらを見つめていた。

「な、何かなー?」
ずっと見つめられてたこと、なのに自分はチラ見しかしていなかったこと、
二重の意味で意味で恥ずかしくなった私は、
何とかごまかそうとしてクララに聞いた。
「あ、ごめんなさい」
クララはまず謝ってきた。
謝るのは私の方だったかもしれないのに。
そしてクララは言葉を続けた。

「ユリさんと私、なんとなく似てるかもって思いましたので…」
「え?」

私は耳を疑った。
今のクララの言葉がとても信じられなかったから。
私はクララの顔を見てみた。
クララの顔は、本当に天使のようにおだやかで少しの陰りも感じられなかった。
だからわかった。
クララは心からそう思っているのだと。



それでも私はクララの言葉が信じられず、聞いてみることにした。
「私とクララ、どこが…似てると思うの?」
「え?あの…ご迷惑でしたか?」
私は動揺を振り切るように、無理やり押し出すような声で聞いてみたけど、
それにクララはびっくりしたようだった。
「あ、いやいや、違うって、違うって」
クララにいらぬ心配はさせまいと、必死に取り繕う私。
大事なことなので2度言いました。
「だってその…
 クララってとっても女の子らしいから。
 カワイイし、やさしいし、お菓子作れるし。
 私なんて…落ち着き無くて喧嘩っ早くて、
 勉強も苦手でガサツだから…その…」
ダメだ、言えば言うほどヘコんでいってしまう。
女としてどうなんだって思ってしまう。
「そ、そんなこと…って言うか、
 自分のことを悪く言っちゃダメです!」
「あ、はい!」
突然強い語調で私を諭すクララだったが、
素直に従うと、また穏やかな顔と口調に戻った。



「魔法学科の課題で、ホウキで空を飛ぶというものがあるの、知ってます?」
「うん、知ってるよ」
私も外で授業があってるときに、
魔法学科の生徒達がホウキに乗って飛んでいる姿を度々見たことがある。
生徒によっては杖やミサイルだったりもするようだけど。
乗り方も様々で、またがって乗る生徒がほとんどのようだけど、
しがみつくように乗ってる子もいれば、立ち乗りしてる子もいた気がする。
「実は私、あれがすごく苦手でして、
 なかなかできなかったんです」
「クララが?」
ホウキで飛行する魔術は、魔法を学ぶ者にとっては基本中の基本、
成績優秀なクララがそれを苦手としていたことは意外だった。
「はい、だから私、放課後もずっとずっと練習を重ねまして、
 ようやく乗れるようになったんです」
「そう、なんだ」
私はクララが練習している姿を想像した。
ホウキで飛行する練習って、何をどうやるのかはよくわからないけど、
クララが一生懸命努力している姿を想像すると、
そのとき私がそばにいなかったことが、ちょっとだけ悔しく思えた。
「だから、ユリさんが放課後に特訓しているところを見てると、
 そのころの私を見ているみたいで、
 応援したくなっちゃうんです。
 がんばれー、がんばれーって」
「クララ…」
クララが発した命令形の言葉が、何だかものすごく愛らしい。



「それに…」
「それに?」
「ユリさん、私とお話しするの、楽しいですか?」
「え…?」
さっきまで私の質問に答えていたはずのクララが、
急に質問し返してきたので少し戸惑ったが、すぐに持ち直すと、
「うん、とっても!」
と、笑顔で答えた。
その笑顔は決して作ったものではなく、自然に出てきたものだった。
「そっか…よかった。
 私もユリさんとお話しするの、すごく楽しいです」
 それに…」
クララは胸の前で軽く手を合わせ、
「私、ユリさんになら、
 私のこと、何でも話せそうな気がして、すごく安心できるんです」
少し顔を赤くしながらそう言った。



「クララ…」
嬉しかった。クララの言葉が。
私になら、何でも話してくれるということが。
そして何より、私と同じ気持ちでいてくれたことが。
だから、私もこう返した。
「私も、クララになら、何だって話せるよ。
 バカみたいなことだって、悩み事だって、
 恥ずかしいことだって、
 クララになら、みんなみんな…」
「ユリ…さん」



「いっしょだね…」
「そうですね…」



私の中で何かがこみ上げてきて、
胸が熱くなってきた。
それは、内に秘めておくにはあまりに大きすぎる、
今まで抱いたことに無い特別な感情だった。

内に秘めておくことができないのであれば、
もう、後は解き放つしかない。



「だから、言うね」
準備をしていたわけではない。
だってこの気持ちに気付いたのは、まさに今だったから。
でも、だからこそ飾り気の無い純粋な思いを伝えられる気がした。
今まで培ってきた、クララに対する思いを。
クララになら何だって言える。
だから、言うんだ。
今の自分の気持ちを。



「クララ…大好き」



「私も…ユリさんのこと……大好きです…」



クララの返事を確認すると、
私はクララを抱き寄せ、
自分の唇をクララの小さな唇に重ね合わせた。



はじめてのキス、クララとのキスは、
とってもやわらかくて、
あまずっぱい、恋の味がした…



「もう、帰らないと」
「…お願い。
 もう少しだけ、こうさせて?」
「…はい」
もうすっかり夜になっていたけど、
私とクララは満天の星空のもと、寄り添い合っていた。
まるで、星の瞬きが私たちを祝福しているようで、
とても嬉しかった。



温かいこの気持ち、温かいこの想いを大切に、
これからのアカデミーでの生活を送っていこう。



私の愛しい恋人、クララといっしょに…



(END)



  ↓後記&コメントへのレスでーす♪



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2008年08月25日
アタタカナアナタ

「えいっ、てやっ、たー!」
放課後の自主トレは私の日課。
じっとしているのが苦手な私にとって、
めいっぱい体を動かせることはすごく楽しいことだ。

けど、最近は特に気合が入ってるなって、
自分でもよくわかる。
だって、あの日以来、
私はこの時間がまた違った意味で、
楽しみになったから。



「ユリさーん」
私を呼ぶ声が聞こえてきて、
私は動きを止めた。

彼女はバスケットを両手で持って駆け寄ってくる。
お似合いのお下げ髪を揺らしながら。
そんな彼女が少しずつ近づいてくるにつれて、
私はなんだかドキドキしてくる。
嬉しい、だけどそれ以上の温かい気持ちになってくる。
私は友達はたくさんいるけど、
こんな気持ちにさせるのは、
彼女だけ・・・。
クララだけ・・・。



「クララ、今日も来てくれたんだね」
私は去来する気持ちを心のうちにしまい、
いつもの私を見せた。
「はい、今日もお菓子作ってきたんですよ。
 どうですか?」
「うん!今日もさんざん動いたから、
 もうお腹ペコペコ~」
「じゃあ、あの木の下に座りましょうか」
「そだねー」
私たちは近くにある大きな木の下に腰掛けた。



クララが持ってきたバスケットに入っていたのは、
クララお手製の林檎のタルト。
「いっただっきまーす」
「ふふ、どうぞ召し上がれ」
私はクララの作ってくれたタルトに手をやった。
ほのかに温かいのは焼きたての証。
ぱくり。
そこそこの大きさのタルトだったが、
私は空腹だったこともあって、一口で食べてしまった。
「うーん、おいしい~」
「よかったー、どんどん食べて下さいね」
クララは満面の笑みを私に見せてくれた。
まるで天使のように、やさしい笑みを。

クララのこのような笑みを間近で見られる私は、
世界一の幸せものだと思う。
まるで、私の中に潜むけがれや煩悩が、
全て浄化されていくかのよう(そんな私は想像できないけど)。



私はまた一つタルトを手に取った。
やっぱり温かい。
でも、温かいのは、
きっと焼きたてだからというだけではない。


  きっと…クララの温もりが、このタルトには詰まっているから。


そう思うと私は、
さっきは一口で食べてしまったけど、
何だかそれがもったいない気がして、
ゆっくりと少しずつ食べるようになっていた。


  少しでも長く、この温もりを味わっていたかったから。

  決して冷めることのない、この温もりを。


ゆっくり食べたはずのタルトも、
いつの間にかなくなっていた。
いや、全部私が食べたのは確かなんだけれども、
もっともっと食べていたかった。
元々食欲旺盛な私ではあるけれど、
今回はそれが原因でないことくらいは、
オツムの軽い私でもわかることだった。

「ふふふ、おいしくお召し上がりいただけたようで、
 よかったです」
クララの嬉しそうな顔を見て、私も幸せな気分になる。
「ごちそうさまでしたー!」
と、手首を直角に曲げて手を合わせてはっきりと言った。
クララへの感謝の気持ちを込めて。



食べ終わった後、
私たちはしばらく何も言わず、
木の下に座っていた。
私は手を地に付いて足を広げて(スパッツはいてるから問題ナシ!)、
クララは足を閉じてスカートの上に手を置いて。
「クララ…」
「なんですか?」
私は空を見上げながらクララの名前を呼んだ。
そして、それに彼女も答えた。
「これからも、来てくれる?」
「え…?」
「あ!いつも来てもらうのも悪いしさ、
 何だったら私のほうからクララのとこ行ってもいいんだけど!」
なぜか動揺してしまっている私。
何か変なこと言ったかな?
変なふうに思われたりしてないかな?
そういう不安がよぎっていたのかもしれない。
だけど、何とか心を落ち着けようとした。
後から思えば、そんな不安定な状況だったからかもしれない。
私の本心が言葉に出たのは。

「私…クララのこと…もっと、知りたいから」

だって、クララの存在は、
こんなにも私の心に温もりを与えてくれるから。

「ユリさん…」
少しの静寂の後、クララは言葉を返してきた。

「私も、ユリさんのこと、もっと知りたいです」

それは、聖母のようにやさしい微笑で。



「クララ…」
「ユリさん…」

自然と私たちの手は触れ合い、
そして重なり合っていた。

「クララの手…温かいんだね……」
「ユリさんだって…」
「…!」

私はクララの言葉に少し驚いたけど、
驚きはすぐ嬉しさに変わり、
私の心を温めてくれた。

夕焼けは夜空へと変わりかけ、
気温は少しずつ下がりかけていた。
しかし、私たち2人はしばらくお互いの温もりに浸っているのであった。



(END)



 ↓ 後記ですじょ



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2008年08月17日
少しでも長く…


  時間は限られている。

  だから、限られた時間をいっしょにいたい。



そこはマジックアカデミーの一つの教室。
たった今授業が終わり、休み時間に入ったところ。
そこには数十人いる生徒の中に、
一人の教室を出ようとする少女と、
彼女を呼び止めるもう一人の少女がいた。
「シャロン、どこ行くの?」
「あ、ルキアさん。
 ちょっと入用のものがありまして、
 購買部に行くところですわ」
「ふーん、
 じゃあ私も付き合うね」
「ルキアさんも何か買われるのですか?」
「ううん、別にー」
即座に否定するルキア。
「それじゃ悪いですわ。
 せっかくの休み時間なんですから、
 貴重なお時間をいただくのは…」
「はいはいストーップ」
皆まで言うなと言わんばかりに、
ルキアはシャロンの発言を止めた。

「いいのよ、私も特段なにもすること無いんだし。
 だったらさ、シャロンに付き添って、
 少しでもシャロンのそばにいれたらなー、なんてネ」
「ルキアさん…」
満面の笑みを浮かべて話すルキアに、
シャロンは少し押され気味になった。
「ね?」
そして、顔を近づけてくるルキアに、
少し照れくささを感じるシャロン。
「そういうこと、でしたら…」
「わーい、ありがとー。
 シャロン大好きー」
「あぁ、ちょっと、
 人前ではやめてくださいな」
シャロンは人目もはばからず自分に抱きつこうとしてきたルキアを
制止しようとした。
「あはは、ごめんねー」
言葉では謝るも、悪びれる様子は無いルキアだった。
(人前では、ね~)



「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
「こんちはー♪」
「あら、シャロンさんにルキアさん、こんにちは」
購買部で店番をしていたのは、
商業科所属の生徒、リエルだった。
「買いたいものがあるのですが、
 在庫はありまして?」
「確認しますね、少々お待ちください」
すぐに在庫の確認をするリエル。
慣れているといった感じで、後ろの棚の方に目を移すと、
数多の在庫品の中からすぐにそれを見つけた。
「はい、これですね。200マジカでございます」
「ありがとう」

リエルはシャロンへの対応が終わると、
ルキアのほうを向いてきた。
「ルキアさんも何かお求めですか?」
「いや、私はシャロンの付き添いでーす」
「あら、そうなんですね」
「ごめんね」
「いえいえ、いいんですよ」
リエルは穏やかな笑顔でそう返した。



「お二人は、本当に仲がよろしいですね」
リエルは2人を微笑ましく見て、言った。
「でしょー?でしょー?
 だって私とシャロン、お付き合いしてるからねー♪」
「ル、ルキアさん!!」
シャロンは恥ずかしそうに赤面しながらルキアの言葉を止めようとした。
「あら、本当のことじゃないの。
 昨日だって下校中にチューしたり…ふが…」
「~~~」
恥ずかしさのあまり、言葉を出すことすらままならないシャロン、
ルキアの口を塞ぐことで精一杯だった。

「ウフフ、なんだかうらやましいです」
2人のやり取りを見ていたリエルが口を開いた。
「あ、その…ごめんなさい…」
その言葉にシャロンは我に帰り、
勝手に盛り上がっていたことを謝った。
「いえいえ、お気になさらないで下さい」
リエルのニコニコとした顔を見ると、
本当に2人のやりとりを楽しんでいるようだった。



「実は、私も仲良くしてた女の子がいたんですよ」
「え?」
リエルの発言に注目する2人。
リエルは先ほどと変わらぬ口調で話していたが、
2人は彼女の発言でとても気になるところがあった。
それは「いた」と過去形で言ったところ。
「とは言っても、仲のいい友達ってところで、
 お2人みたいに恋人同士ってところまではいかなかったんですけど」
「恋人…同士…」
その言葉に少し照れを感じるシャロン。
一方でルキアはそのあたりは気にせず、
完全にリエルの話に聞き入っていた。
「誰にでも明るく接する、優しくていい子でした」
少し上に視線を上げて話すリエル。
昔を思い出しているのだろうか。
「リエル、『いた』とか『でした』って言うと…」
ルキアは先ほどから疑問を抱いてた部分について、聞いた。

リエルは少し間をおいて、答えた。
「彼女、突然私の前から姿を消したんです」
「え!?」
ルキアとシャロンはリエルから発せられた言葉に驚くしかなかった。
「な、なんで…?」
「彼女、ご家族のことを非常に愛してましたから」
「何それ?ワケわかんないよ。
 家族を愛してたらどうして姿を消しちゃうの!?」
「ちょっと、ルキアさん!!」
リエルに食いつくルキアをシャロンが制止した。
いつになく厳しい、語気を荒げた口調で。
「あ、ご、ごめん…」
シャロンのその声に、ルキアは我に帰り、
リエルに謝った。
「いえ、いいんですよ。
 私も暗くなるような話をしちゃって、ごめんなさい」
先ほどのような笑顔を取り戻すリエル。
しかし、どことなく寂しげに見えるのはきっと気のせいではない。

「だから、お2人には、
 一緒にいる時間を大切にしてほしいなって思いまして」
「リエル…」
「リエルさん…」
2人は、リエルの言ったことに衝撃を受けていた。
そして、自分たちがどうあるべきかを考えていた。



「それじゃ、おじゃましましたー」
「はい、毎度どうも。
 またご利用くださいね」
ルキアとシャロンが去り、
1人購買部に残ったリエル。
制服のポケットからカードケースを取り出すと、
中にある写真を開いた。
その写真には、リエルともう1人、長い髪の少女が写っている。
しばらくその写真を眺めた後、
リエルは長い髪の少女にキスをした。
「……サツキ……」



購買部から教室に戻るルキアとシャロン。
購買部を出てしばらく2人は無言だったが、
その沈黙をシャロンが破った。
「ルキアさん」
「…何?」
沈黙の中、自分から何か話そうと考えていたルキアだったが、
シャロンのほうから呼びかけられたため、
少し驚いて、反応が遅くなってしまった。
「先ほどはごめんなさい。急に怒鳴ってしまって」
「ううん、いいよ。私が悪いんだし」
そしてまた少し沈黙が続き、その後またシャロンが口を開く。

「実は私、少し後悔しています」
「だからもう、いいってば」
「いえ、そうじゃなくて、
 購買部に行く前、ルキアさんの付き添いを遠慮したことを」
「え?」
予想していなかったことを話題に挙げられ、
ルキアは足を止める。
そしてシャロンもまた、足を止めた。

「リエルさん、言いましたよね。
 一緒にいる時間を大切にしてほしいって」
「うん」
「もしかしたらルキアさんも、
 そう思われて私に付き添われたのかもしれないのに、
 私ってば、それを…」
「え?あ、えっとー…」
自分でさえもわからない深層心理を読まれたかのようで戸惑うルキア。
「実を言うと、そこまでは考えてなかったなー」
ルキアは照れくさそうにはにかんだ。
「私は一緒にいる時間を大切に、とかじゃなくて、
 ただ単にシャロンのそばにいたかったからだよ。
 今思えば似たようなことかもしれないけどね」
少し照れ顔のルキアだったが、
話すにつれて、次第に爽やかな笑顔になりつつあった。
「ルキアさん…」
シャロンは胸が温かくなる気持ちだった。
少しでも自分のそばにいたいと思ってくれること、
それがとても嬉しかったから。
そしてまた自分も気付かされた。

  自分もまた、ルキアさんのそばに、少しでもいたいということを。



「ルキアさん」
「ん、何…って、ど、どうしたの!!?」
「こうしても、よろしいですか?」
シャロンはルキアの左腕を包み、
彼女の体に寄り添った。
突然のことにびっくりするルキアだったが、
滅多に無いシャロンからのアプローチに嬉しくなり、
「いいよ。
 でもいいの?この先は人がたくさんいるよ?
 『人前』になっちゃうけど」
「…今は、ルキアさんと、こうして…いたいんです…」
こんなに積極的なシャロンは珍しい。
少し驚きもあったが、
ルキアの表情は次第に優しくなっていく。



「…そっか、じゃあその代わり…」

  chu-

言い終わらないうちに、
ルキアはシャロンの唇にキスをした。

キスは短く軽いものだったが、
愛情が存分に込められたものであった。

「ル、ルキアさん…」
「えへへ、
 んじゃ、行こっか」
「…えぇ」



私たちの時間は限られている。
神様がこの世に生きることを許してくれた時間に。
だから、その限られた時間を、
少しでも長く、一緒にいたい。
少しでも長く、そばにいたい。

寄り添った2人は、
そのような思いを1つにしているのであった。



「ルキアさん」
「ん、何?」
「リエルさん、
 いつかそのお友達に再会できるといいですね」

「…そうだね」



(END)



 ↓後記なんだな




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Author:チカ
女の子と女の子が女の子どうしで女の子し合う話が大好きですvv
同級生百合や姉妹百合が私の嗜好。
けど、上級生×下級生もやっぱ好きvv

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